舞台に立ち上がった一瞬の空間、それはやがて消えゆく運命にある「生の美術」です。

堀尾幸男が長年にわたり手がけてきた数多くの舞台美術は、劇場の中で一度きりの命を持ち、観客の記憶の中にしか残らないものでした。しかし、その一つひとつの作品には、空間の力で物語を支え、世界を立ち上げる美術の深い思想と技術が込められています。

「BBM（BUTAI BIJUTSU MUSEUM）」は、そうした舞台美術の軌跡を、資料として、記憶として、次世代へと受け継ぐための“舞台美術の美術館”です。

単なる作品の記録にとどまらず、舞台美術という芸術の可能性や魅力を広く伝え、未来の表現者たちへのヒントや刺激となることを目指しています。

消えゆく舞台の美を、残すために。
そして、新たな創造の土壌とするために。
このミュージアムが、その入り口となることを願っています。